ずまログ

日常/非日常の印象を徒然なるままに綴ります

短編39:今は亡き王女のための

僕がまだ若い頃、大学の知人でこんな人がいた。といっても冒頭がそう感じた訳ではなく、僕の友人がその知人を評してそのような見解を述べていたのだ。あいつはまるでこの王女のようだ、と。

「僕」が王女と過ごしたあの夜について読んでいると、読み手である僕も大学生の頃の空気や匂いをもう一度嗅ぐことができる。それが読書の素晴らしい点だ。

この王女は、『ノルウェイの森』のレイコさんのピアノ生徒だった女の子を思い出させる。