ずまログ

日常/非日常の印象を徒然なるままに綴ります

短編37:タクシーに乗った男

冒頭はインタビューを生業とする聞き手がインタビューに臨む際の姿勢について持論を語り、絵画において大切なことは対象の核となる部分を抑えることだという著者のいわば創作姿勢について語っている様でもあるる。

その後、ある印象的な画廊オウナーの女性の話になり、女性の心の核心となっている凡庸な絵画の話になり、人生を焼き捨てようとする話になり、絵に登場する男と現実に出会う話になり、最後に教訓を得るという構成である。

教訓は、「人は何かを消し去ることはできない。消え去るのを待つしか無い」ということ。このことは冒頭から読んでくるとストンと府に落ちる。人は体験からしか学ぶことは出来ないのだ。でも僕らは読書を通じて体験的に学ぶことができる。もちろん、うまくいけばということだけれど。