ずまログ

日常/非日常の印象を徒然なるままに綴ります

2020-01-21から1日間の記事一覧

短編39:今は亡き王女のための

僕がまだ若い頃、大学の知人でこんな人がいた。といっても冒頭がそう感じた訳ではなく、僕の友人がその知人を評してそのような見解を述べていたのだ。あいつはまるでこの王女のようだ、と。 「僕」が王女と過ごしたあの夜について読んでいると、読み手である…

短編37:タクシーに乗った男

冒頭はインタビューを生業とする聞き手がインタビューに臨む際の姿勢について持論を語り、絵画において大切なことは対象の核となる部分を抑えることだという著者のいわば創作姿勢について語っている様でもあるる。 その後、ある印象的な画廊オウナーの女性の…

短編35:雨やどり

好意と好意が出会って自然発火して山火事みたいになってたっけ。そんなこともあったかなー。

短編33:プールサイド

『駄目になった王国』と共通するプールサイドの場面ではあるが、本作の方が遥かに立体的な構成になっている。なぜだろう。それは、前作では話し手と聞き手が久しぶりに会う友人(但し相手は気づいていない)といういわば並列関係だったのに対し、本作では会…

短編32:とんがり焼きの盛衰

とんがり焼きは小説のメタファーとして読める。「新作募集大説明会」は小説雑誌に応募して新人賞などを選考する会だとすると、「皮の部分がもったりして」「今の若い人間がこんなの好」むとは思えないというくだりは痛烈な批判の雰囲気をまとう。それでいて…